7月になりました。これからさらに高温になっていきますので、外出時における長時間のマスクなど日常生活の中でいろいろな工夫が必要になってきます。小学生たちも、夏休みの期間はどれくらいあるでしょうか。またその間、学校に登校する日も増えてくるでしょうか。
最近、私が注目しているクリスチャンのお医者さんとその著書そして活動があります。順天堂大学医学部教授であられ、一般社団法人がん哲学外来理事長をなさっておられる樋野興夫(ひの おきお)先生です。もちろん私は一度もお会いしたことがありませんし、講演会に行ったこともありませんが、私の手元には古本屋さんで買った「がん哲学外来の話」(小学館・2008年初版発行)、「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」(幻冬舎・2015年第1刷発行)があります。数年前に「いのちのことば社」が毎月本などを紹介する月間「いのちのことば」という薄い小冊子に執筆を連載され、「こころにみことばの処方箋」(2015年)、「種を蒔く人になりなさい」(2019年)という本がいのちのことば社より出版され、また他の出版会社からもいくつもの本が出されています。
現在は、「がん哲学外来&メディカルカフェ」を全国で展開なさっておられます。「がん哲学外来」というのは、がん患者さんやそのご家族と対話をして、心に「ことばの処方箋」を出すことを目的とするもののようです。特に新刊の「種を蒔く人になりなさい」という本では「ことばの処方箋」のもととなる「聖書」から永遠に変わることのない希望を語り、悩みや苦しみ、痛みや病を越えて種を蒔く人生へと導いています。お医者さんの視点からの本ですから、私たちはいのちについて、そのほか多くのことを学ぶことができます。
国立がん研究センターのホームぺージ・がん情報サービスによりますと、2018年に「がん」で亡くなった人は373,584人(男性218,625人、女性154,959人)だそうです。一生涯のうちに、がんに罹患する確率は、男性62%(2人に1人以上)、女性47%(約2人に1人)となっています。これに対し、「がん」で死亡する確率は男性25%(4人に1人)、女性15%(7人に1人)のようです。詳細なデータはともかく、「がん」ということに限らず、人間はだれも「死」という現実を避けることができません。聖書のへブル人への手紙9章27-28節にはこうあります。
「そして、人間には、一度死ぬことと死後にさばきを受けることが定まっているように、キリストも多くの人の罪を負うために一度ご自分を献げ、二度目には、罪を負うためではなく、ご自分を待ち望んでいる人々の救いのために現われてくださいます。」
死や病気、新型コロナウイルスのことばかりを話題に取り上げますと、深刻な内容ばかりであると捉えますし、読むほうの心も何となく重い雰囲気になってしまいます。信仰を持っていたとしても、痛みや苦しみに直面します。もっと明るい話題、希望のあるテーマを語る必要があるかもしれません。今引用した聖書のことばをもう一度読むと、前半は重い内容です。しかし、後半は人々の救いの完成のために来てくださるという確かな希望が約束されています。
聖書には、繰り返して「福音」(ふくいん)ということばが出てきます。これは「良い知らせ」、「グッドニュース」とも呼ばれます。ところが聖書を読んでいくと、人間が神様に対して、人に対して罪を犯すという事実、人間の心が荒れ果て、社会や世界が混とんとした中にあるという、いわば「悪い知らせ」「バッドニュース」が書かれています。それでも聖書の中心が「良い知らせ」「福音」であると言われるのは、神の御子イエスさまが、この罪の世界に幼子として、救い主としてお生まれになられ、成長され、究極的には全人類の罪のために十字架にかかってくださり、墓に葬られ、3日目に死の力を打ち破って復活されたからです。今も生きておられる救い主であり、もう一度来られて、永遠のいのちと罪の赦しという神様の大きな恵みを与えてくださるということを世界の多くの人たちが信じています。
皆さんにとって「死」の向こうにあるものは何でしょうか。恐れでしょうか。不安でしょうか。天地万物を造ってくださった神様は、罪のゆえに神様に背き続ける人類をそれでも愛してくださり、死の向こうに、新しい天と新しい地における永遠のいのちを提供しようと今も招いておられます。